『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

祈り (詩)

不安で眠れぬ夜を 確かに過ごしたはずなのに 命が消えてしまうかもしれない恐怖を 確かに味わったはずなのに 数年という歳月で 記憶は残れど 感覚は薄れ幼きころに会った親戚が暮らし 会わなくなった友の故郷があり 縁(ゆかり)ない土地でもないはずのに なぜ…

ポケットの中の宇宙(詩)

あなたの手が わたしの手を取りそっと コートのポケットに引き入れるそこは 温かく 安全でとても心地の良い場所だ舗道には 無数の葉っぱ通り過ぎてく バスの音ほころんでしまう 唇に必死で 平静をよそおわせさくさくさく、と わたしたち朝7時の道を歩む あ…

たゆたう (詩)

あたたかくも つめたくもないゆるやかに流れる 水のなかでそれはしずかに たゆたっているほのかに光さす うすくやわらかな青に包まれてそれはこぽこぽ、と ときおり泡をたてながらゆっくりと 流れてゆく

月と鳥(詩)

月に浮かぶ 鳥を見た。黒くて 美しい鳥だ。あの人も 見たろうか。青い闇と 白い月。あの鳥は 幾千もの時を越え瞬間にのみ おとずれる私たちの ただひとつの奇跡。 ・・・・・・・・・・・・・ 今夜は、中秋の名月ですね。 月には不思議とミステリアスで心惹…