『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

「レヴェナント」

人は、見(観)たり
聞(聴)いたりして
心に感じるものがあまりにも
大きすぎると言葉を失う
ものなのだということを
この映画を観ることで
久々に思い出しました。


圧倒的なまでに
すさまじい「生」が、
そこにはありました。
生きることの壮絶と激しさ。
厳しい自然と、そして
むごたらしいまでに
人間の持つ知性や理性を
綺麗さっぱり取り去った
人間の野生と本能が
ありました。


シンプルに説明してしまうと、
これは仲間の裏切りに遭って
息子を殺され、
森に1人取り残された
罠猟師のお話です。


でも、よくよく突き詰めていくと
その根底には小さな家族の
深い愛の物語が始まりに
あったのかもしれない、と
そんなことを観終わった後に
感じました。


激しく、生々しく、熾烈な
人間たちの行動と相対するように、
森や雪や川や風などの自然は
どこまでも厳然と
あるがままに存在し、
その対照がとても美しい映画です。


ラストの、
主人公ヒュー・グラスを
演じるディカプリオの
強い瞳がとても印象的でもありました。


その余韻をそのまま残しておきたくて、
エンドロールが終わりきらないうちに
暗い映画館をそっと後にした私。


とにかく「すごい映画」を
観てしまった。
それが一番の感想です。


ただし血や肉がこれでもか、と
いうほど出てくる映画でもあるので、
苦手な方は心して観たほうが
いいかもしれない、ということを
ここにつけ加えておきたいと思います。


「息をしろ。息をし続けろ」

この力強いセリフが
全てを物語っている。
そんなふうにも感じる作品です。




映画データ
【レヴェナント 蘇りし者】

公開:2015年 アメリ
(日本公開 2016年4月)

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトウ

出演:レオナルド・ディカプリオ(グラス)
  トム・ハーディ(フィッツジェラルド)
  ウィル・ポールター(ヘンリー隊長)
  ドーナル・グリーソン(ブリッジャー)
  フォレスト・グッドラック(グラスの息子)