『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

「つきがいちばんちかづくよる」

寒い日が、続きますね。
こちらでも数日前に雪がたくさん積りました。


雪は、良いですね。
しん、とした静けさ。
真っ白な風景。
すべてが帳消しになって、
世界がまた最初から始まっていくような
そんな錯覚すら覚えます。


大人になるほど「朝の通勤」とか
「雪かき」なんてワードが頭の中に真っ先に
イメージされて、子どもの頃ほど
素直に喜べなかったりもしますが
それでも窓外の風景が一面真っ白なのを見ると
多少なりとも「おっ」と思うものがあったりします。


「今日も夜から雪が降るかもしれないよ」と
そんな声がちらほら聞こえていた昨日土曜日、
久しぶりにふと絵本が読みたくなって
図書館に行ってきました。


余白のある世界が好きで、
私は時々絵本を読みます。
文字が少ないから頭も疲れないし、
なんといっても色使いが美しい。
ページから溢れ出そうなぐらい
豊かな色彩を眺めているだけで
心がとても楽しくなります。


絵本棚の前を歩いていて、
そう何秒もしないうちに
ふっと目に入った本がありました。
やわらかな色彩のイラストも素敵だし
「つきがいちばんちかづくよる」
というタイトルも、とても良い。


黄色いチェックのシャツを着て
白いズボンを履いたおしゃれな黒猫が、
自分のためだけにとっておきの
場所を探し出すお話です。
みみのアンテナをぴん、と立てて。
ひげのアンテナぴぴん、と張って。


黒猫はひたすらにその場所を探します。
どこまでも歩きます。
ぴったりの場所が見つかるまで、妥協はしません。
どこまでもどこまでも探します。
そうしてついに、「あること」をするための
念願のベストスポットを探し当てます。


とても可愛いお話です。
そして、最後まで読むと
心がほくっと温まる。


こんなやわらかな心と視点で
世界をいつも眺められたらいいな。
そんなふうに思いました。


可愛い黒猫と同じように
自分の中のどこかにも
きっとアンテナはあるはずで、
だから、それをぴぴんと張って、歩き出そう。
心地良くいられる場所を探しに行こう。
そんなふうにも、また思ったのでした。



今夜は満月。
良い月が見れたら、黒猫さんのように
私もお願いしたいと思います。


「おつきさま おつきさま
きっと いいこと ありますように
みんなに すこしずつ ありますように」


つきが いちばん ちかづく よる (えほんのぼうけん (65))