『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

数をこなす

「質の良い映画に出会うためには、
数をこなさないとなんですよね」。


ある朝。
テレビ番組を見ていたら、
ふとこんな言葉が耳に入ってきました。
個性派と最近注目されている、
ある若手俳優さんの言葉です。


彼はとても映画好きで、
どんなに仕事が立て込んで忙しい時でも
ちょっとした隙間時間を見つけては
映画館まで足繁く通っているようで。


「よく行けますね」
「よほど映画がお好きなのですね」
感心と驚きを交えながらのアナウンサーに対して
彼が発したのが前述のひと言でした。


確かに、そう。
心ときめいて身体中の細胞が躍り出すような、
もしくは胸に深くずしんと響くような、
自分にとって「質の良い」映画というのには、
そうそう簡単には出会えない。


やはり目の肥えた感性の高い人でもそういう
ものなのだなぁとどこか安堵するような、
目からウロコが落ちるような、そんな
気持ちになったのでした。
むしろ目が肥えて感性が高いからこそ、
余計にそうなのかもしれない。


そしてそのことについてしばらく
思いを巡らせながらふと、それは
映画のことだけではないのだろうなぁという
思いに行き当たったのでした。

様々なことに通ずる、ある種の真理。


自分にとってほんとうに「好きなもの・好きな人・
高みを目指したいもの」に出会うためには、
まず自分からアクションを起こし、
数をこなしてゆく必要が
あるのかもしれないですね。


出会って、見て、感じて、
そこから学んでゆく、磨いてゆく。
そこで初めて自分にとってほんとうに
必要なものが与えられるのかもしれない。


“頭も、身体も、使えば使うほど
強くなる。賢くなる”
ある本で読んだ一文がふっと頭を
よぎった一瞬でもありました。


じっと待っているよりも自分から
出会いに行くほうが、ずっと勇敢で
幸福な早道なのかもしれません。
そこから、あなたの人生は好転していく。
もしそうならなかったとしても、
きっと後悔は少ない。


ちなみに冒頭で紹介した若手注目俳優さんとは、
柄本佑(たすく)さん。
父の柄本明さんそっくりの、奥底に深い光を
秘めた細い目を持ち、派手ではないけれど
強く惹きこまれる演技をする素敵な役者さんです。


動ける時には、動こう。
そして必要なものに出会いに行こう。
たとえ期待通りではなかったとしても、
いつか出会える、
見つけられると信じて。

そんなことを思った、
ある朝でした。

「数をこなす」。
なかなか、奥深い言葉ですね。


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