『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

上質でいようとする心意気

マイナスとプラス。
同じ物事には両方の側面があって、
それを受け取る人の心のフィルターによって
現実や世界は大きく変わっていく--


そんなふうに意識するようになってから、
私の中に流れる時間は以前に比べて
幾分か風通しの良いものになってきたような
気がします。


そのきっかけとなったのは、
とある本だったり、
今年に入って経験した久しぶりの
激しい恋(当社比)だったり、
長く続けてきたヨガだったりと、
様々な要因が考えられるのだけど、
とにかくそんなふうに多少無理してでも
明るくて楽しいことを見つけ出して
過ごすうちに人生は多少なりとも
うまく好転している、そんなふうに
感じています。
多少のことには動じなくなったし、
何かが起こっても以前に比べて
激しく動揺することは少なくなってきた。


でもね、目をそらして見ないようにしているだけで
自分の中のどろりとした感情は決して消えていないし
鈍感になったふりをしている分、
溜まっていることに気づかなくなっていることも
多分にあるのです。


それはある日、堤防を壊し、
堰を切ったように流れ、
とめどなく溢れ出し、
そうなるともう、
自分でも抗えないぐらいの強い
衝動が起きてしまう。


ああ、これはダメだなと思いました。
ちゃんと負の部分も認めて受け入れていかなくては、と。
それも含めて自分なのだから、と。
上手に小出しに手放すようにしていかないと、
光の部分だけ見ていても人はいつか破綻してしまう。


私がしたことといえば、
突然に猛然と誰かと話がしたくなって
発作的に携帯電話をつかみ
心許せる何人かに電話をしたことぐらいで、
けして誰かを傷つけたり悲しませたり
するようなことではなかったのだけど、
でも、なんだか恐ろしかった。


強迫観念のように指が無意識かつ性急に動いていたし、
コール音が鳴り続けるたびに涙が止まらなくなっていたり。
自分が自分じゃないような、
ひどく心もとなくて危うい感覚。


結局、その時は誰にも電話が繋がらなくて、
とりあえず「外に出よう」と思い立って、
着替えてお化粧をして散歩がてらカフェに
向かっている途中で件の友人の1人から
折り返しの電話が入り、
心の中にできた大きな氷塊は
ゆるゆると溶けていったのだけど、
ほんとうに紙一重で危なかったな、と
ひやりと肝を冷やしたのでした。
何が危なかったのかは、自分でもまだ
うまく説明ができないのだけど。


まだ大好きなのにもう会えない人のことや
仕事のあれこれや、家のことなどなど、
見ないように蓋をしてきたものが
何の前触れもなしにどばどばどばっ…と
溢れだしてしまったのでしょうね。


マイナスもプラスも全て見つめて、認めて、
解放する。
考えすぎに気づいたら、まず体を動かす、深呼吸する。
大事なことだなと気づきました。
頭ではわかっていても、その渦中にいると
なかなか気づかない。


それともうひとつ。
人と人とは合わせ鏡であるので、
一方が不機嫌だったり理不尽な態度を
取ってきたりすると、
ついこちらも腹が立って反撃をしたくなったり
張り合ったりしてしまいがちだけど
本当にその相手に勝ちたいと思うなら
同等でいてはいけないということ。


挑発に乗ったり、相手の悪口を陰で言ったりしないこと。
口もとに笑みを浮かべていられるように努力すること。
それこそが本当に相手を打ち負かす唯一の方法だし、
自分自身が上に行くための良い機会だと思うのでした。


なかなかね、難しいけれど。
でもそう心がけるだけで、
そういう心意気を持とうとするだけで
人は変われるし、より上質な人間になれるような
そんな気がするのです。

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