『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

「カサブランカ」

「今月いっぱいで閉店します」

家の近所にある小さな町の中ぐらいの本屋でそんな張り紙を見かけ、足繁く通うほどではなかったけれど気に入っていたその本屋に何か貢献したくて、本と一緒に売られていた¥300ほどのDVDを1枚買って帰ったのはもう何年前のことでしょうか。

それが、名前だけは知っていたクラシック映画の名作「カサブランカ」との出会いでした。

 

さらに月日は数年も経過して、その映画をやっとちゃんと観れたのはつい先日のこと。

 

あらすじをざっと説明すると、時は第二次世界大戦中、舞台はモロッコの都市カサブランカ

かつてパリで恋人同士だったリック(ハンフリー・ボガート)とイルザ(イングリット・バーグマン)は皮肉な形で運命の再会を果たし…というもの。

リックは賭博場の経営者となり、イルザは抵抗運動の活動者の妻という立場での再会。

甘苦い恋の思い出が名曲「As time goes by(時の過ぎ行くままに)」に乗って二人の胸に去来してゆきます。

 

クールで渋味のある表情のハンフリー・ボガートと上品で知的な美貌を持つイングリッド・バーグマンの組み合わせが、ほろ苦い大人の恋愛の世界観をより一層引き立て、観る者の胸を切なく締めつけます。

とくに思い出の曲に耳を澄ませて瞳を潤ませるイングリット・バーグマンの美しさといったら、もう。こちらまで、ウルウルしそうなほど素敵でした。

 

そしてこの作品は、武力による政治の統制に反発する強いメッセージが込められていたり、また男同士のさらりとした、けれど厚い友情も描かれていて、そこが単なる恋愛映画とは一線を画す心熱くなる映画になっています。

今ごろやっと観た私が言うのもなんですが、未見の方にはぜひ一度観ていただきたい映画です。オススメですよ。

 

そして、この映画と出会うきっかけを作ってくれた今は無き地元書店「with」にも今さらながらありがとうを伝えたいです。

 

【映画データ】

1942年アメリ

監督:マイケル・カーティス

出演:ハンフリー・ボガートイングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリードほか

 

 

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