小学生の私にとって土曜日の夜は特別でした。
それは翌日が学校休みというのも勿論あったけれど、それにもまして楽しみだったのはドリフターズの『8時だョ!全員集合』があったから。
オイーッス!!の掛け声とともに次々とドリフメンバーが現れて、最後に「彼」がおどけた表情で舞台そでから出て来るだけで笑いが絶えませんでした。
テレビいっぱい縦横無尽に走り回り、身体を張ってコントを演じ、時にヒゲダンスを披露する姿はあの頃の私にとって相当に面白く、見ているだけで笑いがこぼれ、いつしかお腹がよじれるほどゲラゲラと笑っていて、その笑い声は階下にいた家族の耳に届くほど大きく、心配して見に来られることもあったほど。
本当に幸せな時間でした。
ほかにも、バカ殿、変なオジサン、ひとみ婆さん…などetc..
とぼけていて、ひょうきんで、ちょっと下品でエッチなネタとキャラクターたちを次々と生み出した志村さん。
ナンセンスだと眉をひそめる大人たちもいたけれど、そのナンセンスを真剣に追求し、徹底して貫いた笑いがそこにありました。
最近でいうと『天才!志村どうぶつ園』の園長として動物たちとふれあう姿もとても良かった。
まるで自分の子どもか孫のように接する好々爺とした表情が微笑ましくて優しい気持ちになれました。
でもやっぱり私にとってアイドルだった「彼」は土曜8時の志村さんであり、せめても「あの時の笑いと楽しいひと時をありがとうございました」とひと言お礼を言いたいです。
コロナがあっけなく「彼」の命を奪ってしまった時は信じられないぐらい驚きました。
きっとすぐに元気になって「いやぁ、参りましたよ」なんて笑顔でコメントしてくれると信じていたから。
もしくは「大丈夫だァ〜」とお得意のギャグを交えながらおどけてくれると思っていたから。
とても残念で寂しいです。
それでも「彼」の死とは別に、私たちにはそれぞれの日常があり、それは生きている限り続いていくものなので立ち止まってはいられません。
コロナやコロナが及ぼす被害に対しての不安や心配とも闘っていかなければなりません。
悲しい思いもやがて少しずつ小さくなっていくのでしょう。
けれど今は小さく胸の内で呟いてしまいます。
さようなら、志村さん。
土曜8時の私のアイドル。
ちょっと早過ぎたね。寂しいね。
そんなことを思いながら、たまにYouTubeで「彼」のコント動画を眺めたりしている最近の私です。