『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

小さな最善

秋の長雨が続いています。
そして、歩いていると
いつのまにか金木犀が
ふっと香るようになりました。

なんとなく脱力して、
部屋で猫を抱いたり、
好きな音楽をかけながら
まどろみたくなる午後です。


でも、平日の昼日中、
そんなことができる人は
世の中にたぶんそんなには
多くなくて、そして、
そんな人たちのおかげで
今日も世界は動いている、
何かが生み出されている。
そんな気がしています。
良いことも、悪いことも、
悲しいことも、嬉しいことも。


先日、ケント・キースという人の
『逆説の10カ条』という言葉に
出会いました。
ケント・M・キース - Wikipedia


これ、マザー・テレサの言葉だと
思っていたら、元はこの方の言葉
だったのですね。
10カ条の最後の一文、
とくにこの言葉がとりわけ好きです。

世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。


私は、世界のために
大きな「何か」をしている
わけではありません。
役に立っているというよりは、
ほとんど何も貢献していない
かもしれない。


それでも、生きて、何かを見て、
聞いて、考えて、ごく身近で
大切な誰かや何かを愛しながら
生きていくことは、ささやかな
善きものをきっと生み出している、
自分なりの「最善」なのだと、
そんなふうに信じます。


そして、今もしあなたが
休んだり動けない状態で、
自分のことを歯痒く
思っていたとしても、
あなたが見つめたり
耳を澄まして飛び込んできたものは
きっとあなたの中に「何か」を
生み出しているし、
それがいつか世界に飛び出す時の
原動力になるのだと思います。


できる時に、できることを。
そしてなるべくならば、
小さくても善いことを。
ケント・キースさんの言葉を読みながら、あらためて心にとどめておきたいと思ったのでした。


雨、どうやら上がったようです。

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