『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

「間宮兄弟」

夏から始まって冬に終わる小説を、8月から読み始めて11月も半ばを過ぎた先日にようやく読み終えました。 だいぶ昔に買って今までにも数回読み返している本なのですが、久々に読みたくなってちょこちょこ休憩を入れつつ楽しみながらページを繰りました。 明信…

「ねぎを刻む」

とくに理由も無いのに不意に孤独を感じて泣きたくなってしまうことが、二十代の頃はよくありました。 友だちがいても恋人がいても、それは関係無く。 江國香織さんの『つめたいよるに』という短編集の中に収められた「ねぎを刻む」という作品にも、そんな孤…

「倚りかからず」

「もはや できあいの思想には倚りかかりたくない もはや できあいの宗教には倚りかかりたくない もはや できあいの学問には倚りかかりたくない もはや いかなる権威にも倚りかかりたくはない ながく生きて 心底学んだのはそれぐらい じぶんの耳目 じぶんの二…

「旅の短編集」

この本とは、だいぶ昔に古本屋で出会いました。タイトルと装丁に惹かれて即決で購入したのを覚えています。とはいえすぐに読破することはなく、折に触れ開いたページのところからちびりちびりと読み、気が済むとまた本棚に戻し…と、そんな読み方をしている本…

「1Q84 」

昨年の12月から村上春樹さんの『1Q84』という小説を久しぶりに再読していて、4月にようやく読み終えることができました。 不思議な小説です。 それぞれの登場人物たちが、予期せぬうちにある分岐点を境にそれまであり得なかった世界に入り込んでしまうという…

「離陸」

主要登場人物たちが次々にあっけなく亡くなってゆく展開は、その都度「え…」と驚いたり閉口したり。 そして現実を描いているストーリーのはずなのに突然タイムスリップという非現実なワードが出て来て謎は謎のまま終わってゆきます。 主人公・弘(ひろむ)が探…

「ビジネスライクの優しさ」について

そういえば新年の挨拶もしないまま、いつの間にか2月に入ってしまいました。 今日は立春ですね。 遅いですが、あらためて明けましておめでとうございます。きのうは節分でしたが豆まきなどはしましたか? 我が家では母と私の2人でご近所に声がもれない程度に…

「あるヨギの自叙伝」

「読書の秋」でありますが、最近は パラマハンサ・ヨガナンダさんの書いた 『あるヨギの自叙伝』(森北出版・ 1983年発行)という500ページ超の、 しかもぎっしり二段組みで構成された、 ぶ厚い本に格闘しているこの頃です。 この本のことは、何度か…

「流しのしたの骨」

流しのしたの骨、というタイトルの 江國香織さんの小説を、 このところまた本棚から 引っぱり出して読み返している ところです。 表紙はくたびれて、 中のページもすっかり茶色く 変色しているけれど、 そこもまた愛おしく、 ふっと思い出しては手を伸ばし、…

「つきがいちばんちかづくよる」

寒い日が、続きますね。 こちらでも数日前に雪がたくさん積りました。 雪は、良いですね。 しん、とした静けさ。 真っ白な風景。 すべてが帳消しになって、 世界がまた最初から始まっていくような そんな錯覚すら覚えます。 大人になるほど「朝の通勤」とか …

「運命の恋人」

年が明けて、2016年になりました。 日々はあっという間に過ぎてゆきますね。 大事に大事に過ごしていこう、とますます強く思う最近です。 久しぶりに本のことでも…と思い 棚に視線を巡らせたところ、 ちょうど良い作品と目が合いました。 『おめでとう』…

「A2Z 」

「私は、たぶん、飛び付く速度が少しばかり早いのだ。 そして、抱きしめる力が、強いのだ」 (山田詠美 『A2Z(エイ・トゥ・ズィ』)A2Z (講談社文庫)作者:山田詠美講談社Amazon これは、恋の物語です。 大人だけれど、 大人であることを忘れてしまう…