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『転がる石の上機嫌』

転がって、転がって、小さな善きものがあなたに届けられますように。

ちゃぽん、と余韻が残るライブ

音楽

先週の土曜日。

キャリーケースをがらごろと
転がしながら、海の近いカフェまで
Melancolia Storytellingさん
http://mitchell-orange1002.hatenablog.com/entry/2016/11/09/Melancolia_Storytellingさんの音楽
の音楽を聴きに行きました。


小さなカフェの店内は満席で、
キャンドルの明りが灯るなか
みんなで目をつむったり
リラックスしながらやさしい音楽と
うたの世界を堪能しました。
1つ1つの曲に気持ちが
込められていて、聴いていると
それぞれの曲が持つ情景が
立ちのぼってくるような、
そんな素敵なライブでした。
途中に入った詩の朗読も、
雰囲気があってとても良かったです。


時折ガラスの扉越しに
歩きながらこちらを覗きこむ
人たちや、道路を走っていく車の
音さえもまるでライブの演出の
ように完璧で、とてもあたたかく
親密なひと時でした。
Chigayaさんの、ふんわりとして
絶妙な塩加減のフォカッチャや
野菜のスープ、ライブの曲に
合わせて出されたカリッと
温かなキャラメルスコーンも
素晴らしく美味しかった。
「空間も含めて、総体で
数行の詩を表現したい」と
おっしゃっていたように、
音・色・匂い・温度のすべてが
一体となって素敵な空間を
作り出していたライブでした。


ライブで販売されていた
ご本人の詩と写真の本に
サインを入れていただき、
翌日はご一緒に鎌倉散策をして帰途へ。
するりと感触の良い紙の
ページを1枚1枚めくりながら、
この本を開くたび冬の夕刻の
あの素晴らしいひと時を
思い出すことができそう、と
幸せな気持ちで美しい詩と
写真を眺めている今です。


静かな波のような音楽と、
陽の光を受けきらきらと輝く
海の景色が、数日を経た今も
身体の中にたゆたうように
残っていて、ちゃぽんと
音を立て揺れているようです。

小さな旅の良い記憶が
またひとつ、増えました。


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ヨガTTを終えて

yoga

2016年12月11日、日曜日。
約1年かけて学んだ
全米ヨガアライアンス200時間
資格取得コース、無事に修了する
ことができました。


主な内容は下記の通り。
・ヨガアサナ 基本70ポーズ
・瞑想法、呼吸法
・ヨガの歴史
・ヨガ哲学
・解剖学(体の構造を理解するため)
アーユルヴェーダ基礎知識
・アジャストの仕方
・ヨガ指導論
など


とあることをきっかけにヨガと出会い、
そのヨガをきっかけに様々な人や物や
事に出会い、ころころころ…と運ばれ
るままに転がって、今この場所に立って
いるのだなぁと思うと不思議なのと
同時にとても感慨深いです。


ヘッドスタンドやハンドスタンドなど、
苦手なアサナたくさんで
本当に気持ちがめげたこと。
みんなの前でデモンストレーション
するたびに緊張して上手くできなくて、
さらに落ち込んだこと。
日々のことに時間を取られ、練習が
しっかりできずにモヤモヤしたこと。


ヨガの本来の目的はアサナではなく
心のコントロールで、人と比べたり
外のことに惑わされずに強く穏やかに
過ごしていくことのはずなのに、
そんなことすら忘れかけ
「なんでTT受けちゃったんだろ、私…」
とまで思ったりもしていました。
ヨガが少し嫌いにもなりかけていました。
正直なところ。


でも
「困難なことから逃げれば逃げるほど
もっと大変なことになるよ。今やるべき
自分の役目をきちんと果たそう」
と教えてくれたのも
またヨガだったのでした。
逃げずに向き合えて、本当に良かった。
目標を達成するって、こんなにも
大きな自信に繋がるのだなぁと
いうことを、しみじみ実感している今です。


TT最終日、3人1組になって
順番に短いヨガクラスをする
という課題が出ました。
午後の光が筋になって窓から
差し込む暖かいスタジオの中、
1年という期間一緒にヨガの勉強を
してきた仲間のそれぞれの個性を
感じさせる真剣なヨガクラスを受け
ながら、あぁやっぱり私ヨガが
好きだなぁとふと感じたのでした。


泣きごとを漏らしても、
いつも優しく受け止めて
励ましてくれた先生。
「どうして皆そんなに
良い人なのですか?
ここは天国なのですか?」と
ほっぺたつねくり回したく
なるぐらい、信じられないほど
性質の良いお仲間たち。
良い師と良い仲間がそばにいてくれた
からこそのTT修了でした。
気持ちが落ち込むことは
何度も何度もあったけど、みんなで
一緒にマントラを唱えたり
笑い合ったりした時間は、
本当に貴重で愛おしい時間です。


ヨガの練習はこれからも続きます。
自分自身のために。
そしてもっと知識と経験を積んで、
今度はきちんと自信を持って
身近な人たちにヨガを
案内できるようにするために。


ヨガの聖典で『ヨーガ・スートラ』
という書物があるのですが、
スートラとは“糸”を意味します。

「縦の糸」が先生。
「横の糸」が自分。
そうして師から教え受け継いだものに
自分の得たものを紡いでいくことで、
自分だけのヨガを織り成すことが
できるのだとか。


私の織り成すヨガは
どんなものになるのだろう。
できれば強くて美しいものであってほしい。
そんなふうに願う、今年最後の満月の夜。


TT、大変だったけど面白かったです。
ヨガの指導者を考えていなくても、
ヨガが好きで基本からその周辺知識まで
体系的にしっかり勉強したい方には
とてもおすすめだと思います。
(※期間、内容はスクールによって多少異なるようです)


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Melancolia Storytellingさんの音楽

音楽

11月です。
気づけば立冬も過ぎていて、
街中では暖かい服装をした人を
多く見かけるようになりました。

夏に引き続きこの秋も、
note(https://note.mu/melancolia)や
twitterhttps://twitter.com/ayucafe?lang=ja)で
フォローさせていただいている
Melancolia Storytellingこと
相澤歩さんの音楽世界にとっぷりと身を浸し、
聴き入っているこのごろです。

美しく意志的なことばで
紡がれる独特の歌詞世界。
メロディと溶け合うように
同化する、優しい歌声。

穏やかなのに強烈で、
哀しいけれどどこか明るくて。

楽しみにしていた秋の新作
(4thアルバム『höst』)
を聴いて思うのは、
静けさの中にもさまざまな
色があるのだということ。
絶望や、希望や、陽気や、慟哭や、哀愁。
どれも穏やかな旋律なのに、
曲によって見せる表情や
色合いがそれぞれに違う
不思議さが魅力です。

夏には凪ぐ海を思わせて。
秋には冷たい北風と
珈琲がよく似合い。

冬は。そして春には。
この人の生み出す音楽は
どんなことをイメージ
させてくれるのだろう、
どんな世界を見せてくれるのだろう、と
これからやって来る季節のことを
ふと楽しみに考えてしまいます。

ご興味持たれた方は、ぜひ。
静かで深遠な
Melancolia Storytellingさんの
音と言葉の世界、どうぞ
味わってみてくださいね。

noteやtwitterで時折公開されている
みじかいお話シリーズも、
雰囲気があってとても素敵です。



www.youtube.com



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初めてのマイクラス

yoga

なんやかんや考えたり、
笑ったり、泣いたり、
誰かや何かと出会ったり。
ドタバタと過ごしているうちに
10月も終わりに近づこうと
しています。


目まぐるしくもあり、時に
停滞しているようにも感じたり。


それでも日々や時間は、誰の元にも
等しく同じ早さでやって来て、
移ろう季節とともに過ぎて
行くのだなぁと
毎度代わり映えしない感想を
持ちながら窓の外を
ふっと眺めたりしています。


ヨガのTTも、残すところ
あと2カ月となりました。


TTとは、ティーチャー
トレーニングの略なので、
当然教えるための技術を学ぶし
その練習を重ねたりします。
クラスを持つ課題も、
出たりします。


正直、それがイヤで逃げ出し
たくてたまりませんでした。

ヨガが好きで
もっと深く学びたくて…という
気持ちがある一方、誰かに
教えたいもしくは指導者に
なりたいという意識は
そんなに強くはなかったから。


それに、まだ全然練習が
足りないし、教えるレベルにも
達していないし、もしかしたら
どれだけ時間をかけても
満足できるヨガなんて
自分には修得できないかも…
という不安ばかりがありました。
たぶん、それは今もそうで。


とはいえ時間は容赦なく、
与えられた時間の中で
ベストは尽くさなくては
なりません。


それに「好き」が仕事に
ならなくても「好き」に
関わり続けたいのなら、
TTを選んだ自分にとって、
これはたぶん必要な
試練でもあります。
大袈裟かもしれないけれど。


結局ぐるぐる考えた結果、
とにかく楽しんでやりましょう、
というシンプルな結論に達しました。


ヨガの心地良さが
少しでも身近な人に
伝わるように。
そして、それを拙いながらも
伝えられる自分は幸せなのだ
と思うために。


カリキュラムを考えたり、
それらしくティンシャの
用意もしたりして(多少の
アクシデントもありながら)、
準備を少しずつ、少しずつ
進めてきました。


そんな頼りない初めての
マイクラス。
いよいよ今日、開催です。


どんなことになるのだか。
ドキドキと不安も含め、
たくさん楽しもうと思います。

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小さな最善

LIFE

秋の長雨が続いています。
そして、歩いていると
いつのまにか金木犀が
ふっと香るようになりました。

なんとなく脱力して、
部屋で猫を抱いたり、
好きな音楽をかけながら
まどろみたくなる午後です。


でも、平日の昼日中、
そんなことができる人は
世の中にたぶんそんなには
多くなくて、そして、
そんな人たちのおかげで
今日も世界は動いている、
何かが生み出されている。
そんな気がしています。
良いことも、悪いことも、
悲しいことも、嬉しいことも。


先日、ケント・キースという人の
『逆説の10カ条』という言葉に
出会いました。
ケント・M・キース - Wikipedia


これ、マザー・テレサの言葉だと
思っていたら、元はこの方の言葉
だったのですね。
10カ条の最後の一文、
とくにこの言葉がとりわけ好きです。

世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。


私は、世界のために
大きな「何か」をしている
わけではありません。
役に立っているというよりは、
ほとんど何も貢献していない
かもしれない。


それでも、生きて、何かを見て、
聞いて、考えて、ごく身近で
大切な誰かや何かを愛しながら
生きていくことは、ささやかな
善きものをきっと生み出している、
自分なりの「最善」なのだと、
そんなふうに信じます。


そして、今もしあなたが
休んだり動けない状態で、
自分のことを歯痒く
思っていたとしても、
あなたが見つめたり
耳を澄まして飛び込んできたものは
きっとあなたの中に「何か」を
生み出しているし、
それがいつか世界に飛び出す時の
原動力になるのだと思います。


できる時に、できることを。
そしてなるべくならば、
小さくても善いことを。
ケント・キースさんの言葉を読みながら、あらためて心にとどめておきたいと思ったのでした。


雨、どうやら上がったようです。

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『流しのしたの骨』 そして読書についてのこと

流しのしたの骨、というタイトルの
江國香織さんの小説を、
このところまた本棚から
引っぱり出して読み返している
ところです。


表紙はくたびれて、
中のページもすっかり茶色く
変色しているけれど、
そこもまた愛おしく、
ふっと思い出しては手を伸ばし、
つい眺めてしまいます。
そしてそれはなぜか、
今ぐらいの季節のことが多いです。
晩秋から翌春にかけての季節を
描いている小説だからでしょうか。


お父さんと、お母さんと、
2人の姉と、こと子と、
小さい弟(といっても15歳)の律。
物語は6人家族の宮坂家を中心に、
三女・こと子の視点で描かれてゆきます。


何度も読んでいるので、
全てを通しで読むことは
今はしていません。
時々ふっと手を伸ばし、
ぱらぱらとページをめくり、
その時止まった手の箇所を
そっと読み、また棚に戻します。
どの箇所をひらいても、その時の
季節の色や匂いや最初に読んだ時の
読後感などが懐かしく思い出されて
甦る、とても味わい深い小説です。


中でもとくに好きなのが、
わりと冒頭で描かれる秋のシーン。
お母さんがこと子に言いつけて、
もみじと紅葉した葉っぱを
たくさん用意しに行かせるところです。


それは、秋の食卓を彩るための演出
なのですが、こと子はそれを
少し疎ましく思っています。
たぶん、内心めんどうくさいなぁと
思いながら。
でも母には何も言わず、
ちゃんと集めてくる。


もみじはさんまの塩焼きに
添えられて “ぎたり” とはりつき、
紅葉した葉っぱはオーブンで
焼いた秋野菜が乗った大皿の下に
どっさりと敷きつめられたりしています。
お母さんはそれを「秋のごちそう」と形容し、
弟の律は「野趣あふれている」と合わせ、
お父さんと、こと子は無言。
このシーンが、何とも言えず好きなのです。


なんで好きなのか、
あらためて考えたことも
なかったけれど、
たぶんそれはお母さんが
「季節」や「生活」を心から愛して
楽しんでいるから、なのだと思います。
そして、それぞれ内心に
思うところはありながら、
家族がそれにきちんと
付き合ってあげているところも
なんだかいいな、と思うのでした。


野趣あふれる秋の食卓、いいですね。
テーブルの真ん中に落ち葉をどっさり、は
さすがにハードルが高いけれど、
もみじを1枚、さんまの塩焼きに
添えるというのはぜひ一度
取り入れてみたい、というのが
この小説を読んでから、ずっと
うっすら憧れていることです。
でも、簡単そうで、なかなか
しないものだなぁとも思ってみたり。


ところで最近は本の読み方が、
以前と少し変わったなぁと思うのでした。
前はいろんな作家さんの、
いろんな作品をもっともっと…と
手当たり次第に読んだものだけれど、
今はどちらかというと、これ!と決めた
作家さんや好きな作品を
深く掘り下げて読むような、
そんな読書をするようになりました。


たぶんある程度の年齢になって、
そんなにあれこれ頭に入るほどの
容量は持ち合わせていませんよ、
ということなのかもしれないけれど、
それはそれで、
1つの作品とじっくり長く
向き合うということは、
誰かと長く落ち着いた関係を
築いていけるような、
酸いも甘いも噛み分けた、
これぞ大人の読書なのかも!と
一人悦に入っている最近です。


何度読み返しても楽しめる本が
自分の手元にあるということは、
なかなかに幸せなことですね。
読書が深まる秋も、もうすぐそこ。
あなたは何を読みますか?
そして今は、どんな本を読んでいますか?



流しのしたの骨 (新潮文庫)

弱さを出す強さについて

yoga LIFE

人はなぜか
自分の弱いところや
ダメな部分を
隠したがるクセがあります。

逆に誰かにつつかれるのが怖くて、
そうなる前に
ものすごく露悪的に
なってしまったり。

嫌われたくない、
みっともないところを
見せたくない。
つい、そんな意識が
働いてしまいます。

「人に嫌われたくない」
「みっともない自分を
見せたくない」という意識は
自分を高める原動力に
なる時もあるけれど、
たいていは
重しのように苦しいです。

思い描いている自分と、
実際の自分とのギャップ。
つい見られたくない自分を
そっとベールに隠したり、
先手を打って
防御してしまいます。

でもある日、
まわりを見ていて、
そんなに気負うことも
ないのかなぁと
思うようになりました。

駄目な時は、駄目な時。
駄目な自分も、愛しき自分。
けして過剰に露悪的に
なるのではなく、
自分の弱さを
出してゆくことも
ある種の強さなのではないか、と。

それは、自分以外の誰かを
信用することだから。
「どう思われても構わない」
という心の強さの証明だから。
そしてたぶん、さらけ出せてしまうほうが
自分もきっと「楽」なのです。

それは自分が逆の立場になって、
誰かのそんな部分を
目の当たりにしても
たいして気にならないし、
むしろ「ああ、みんな
同じなんだ」「この人はこうなのだ」と
納得して、安心することのほうが
多いということに
気づいたからかもしれません。

本当の気持ちを無視して
むやみに自分を鼓舞したり、
もしくは苦しいからといって
つらいことを簡単に
投げ出してしまったりせず、
上手く折り合い付けながら、
そして上手く外に吐き出しながら、
理想の自分に近づけるように
ゆっくり進んでいけたらいいと、
今はそんなふうに思います。

ヨガのTTも後期に入り、
急に難しく出来ないアサナも
増えてきました。
自分なんてもう無理だと、
なんだか妙にいじけたり
滅入ったりしていたここ最近。

そんな自分を見せたくなくて、
不安やいらだちを
あまり出さずにいたけれど、
隠していたことで
その気持ちが大きく
抱えきれないものに
なってしまったので
ある時から思考を変えて、
少し小出しにしてみる
ことにしました。
いろいろな人にちょこちょこと。
冗談めかして軽い調子で。

そうすると不思議なもので、
少しずつ気持ちが
軽くなっていきました。

「やらなきゃ上はないのだ」と
頭に何度言い聞かせても
納得できなかったことが、
ようやく心の腑に落ちて、
やっとスランプから抜けました。

たぶん落ち込みは
またすぐにやって来て、
その度にがっくりするのだろうけど、
弱さは強さでもあるのだと、
頭と心に叩き込み、
小さく拳を握っている今です。

外に出してしまうことで
気持ちが軽くなったり、
冷静に自分の「今」を
見つめたり変えられる
きっかけが出来ることも
あるものですね。

そうして、
そんな自分を「出す」ことは、
ある意味勇気が必要ですし、
それは強さにも繋がることだと
思うのです。

全てを丸ごと出すというのとは
ちょっとわけが違うのですが、
でも出してしまうことで
「保たれる」部分があるということ、
それもまた強さなのだと、
そんなことに気づいたここ最近です。

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